東村山福音自由教会 ✞ Sunrise Chapel: Ⅱサムエル記16章15~23節「人の知恵の愚かさ、神の知恵の確かさ」
主が人の子らを、意味もなく、苦しめ悩ませることはない。(哀歌3:33)

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2020/11/25

Ⅱサムエル記16章15~23節「人の知恵の愚かさ、神の知恵の確かさ」

 *** 11/25(水)祈祷会 説教概略 ***

 本日は16章15節からですが、直前の14節に一瞬触れておきたいと思います。

 16章14節にこうあります。
14節 王も、王とともに行った兵もみな、疲れたのでそこで一息ついた。  

 都を追われたダビデ王とその配下の者たちは、厳しい状況でしたがそれでも主から離れず、神様の備えやご計画があることを信じて行動していました。シムイからの呪いのことばの数々や投石などがあっても、それに対して信仰をもって対処したところでした。

 しかし、信仰があれば疲れないかと言うと、決してそうではありません。神様への信頼がどんなに厚くても、人である以上傷つきもすれば疲れもするのです。そういう時に「信仰があれば休み不要」といった極端な考えに支配されず、神の前に一息つくこともまたふさわしい事なのです。

 私たちも走りっぱなしでは疲れます。単純に心や体を休める時が必要です。疲れを覚えたならば、一息つくということも頭の片隅に置いて歩みましょう。ただ、あくまでも神様の前に安らぐということが大切で、神様から離れて休もうとするとかえって霊的に疲弊してしまい、結果肉体的にも癒されません。

 真実を見抜けないアブサロム

 さて、15節から場面はエルサレムに変わります。

15節 アブサロムとすべての民、イスラエルの人々はエルサレムに入った。アヒトフェルも一緒であった。

 アブサロムとアヒトフェル、配下の者たちはエルサレムに入りました。
 すると、ダビデの友フシャイがアブサロムのもとに来ました(むしろ待ち構えていた感じでしょうか)。このフシャイという人は15章で登場した人で、ダビデ王の親友でありダビデの味方でした。ダビデ王から頼まれて、反乱している息子のアブサロムの懐に飛び込むよう命じられていたのです。つまりスパイに近いですね。

 特にアブサロムの参謀、軍師であるアヒトフェルの策をうまく妨げるために派遣されたのでした。それでフシャイはまずダビデ王の息子アブサロムに信頼される必要があり、16節でアブサロムの前でこう言いました「王様万歳。王様万歳。」

 興味深いことに「アブサロム王万歳」とは言っていないのです。フシャイは心の中でダビデ王を思いつつ「王様万歳」と言ったのかも知れません。それでもアブサロムにとっては、自分の目の前にフシャイが事実来ており、彼が自分に向かって「王様万歳」と言うのですから、「フシャイまでも私に寝返ったのか?」と気を良くしたのだろうと思います。

 ただ、彼は一応の確認の意味で17節のような問いを発しています。

17節 アブサロムはフシャイに言った。「これが、あなたの友への忠誠の表れなのか。なぜあなたは、あなたの友と一緒に行かなかったのか。」

 あなたは父であるダビデ王の友であっただろう。ダビデ王と一緒に行かなかったのはなぜか?と問いかけています。18-19節にフシャイの答えがあります。

18節 フシャイはアブサロムに言った。「いいえ、主と、この民、イスラエルのすべての人々が選んだ方に私はつき、その方と一緒にとどまります。

19節 また、私はだれに仕えるべきでしょうか。私の友の子に仕えるべきではありませんか。私はあなた様の父上に仕えたように、あなた様にもお仕えいたします。」

 この言い回しも不思議な言い回しだなと思います。フシャイは固有名詞を一切出さずに説明しています。どれも彼の心の真実な思いを表現していながら、アブサロムが都合よく自分に引き寄せて解釈できてしまう内容と言えます。

 まず18節の主と、この民、イスラエルのすべての人々が選んだ方に私はつき、その方と一緒にとどまります。とのことばは、一体誰を指しているのでしょうか?

 フシャイの心の中では、主とその民が選んだ王はダビデ王に他ならないのです。しかし、アブサロムの耳にはどう聞こえたでしょうか?目の前の状況と自惚れの強い彼の性格が相まって「自分を指している」と思い込むのに十分だったことでしょう。現にフシャイが目の前に来てくれているのですから。

 さらに19節でもフシャイは「私の友の子に仕えるべき」だと言っていますが、やはり不自然なほどに固有名詞を出していません。フシャイはウソをつくことなく、それでいてアブサロムの自惚れを利用してアブサロムの味方であるかのように見せています。そこには神様の助け、神様の不思議な導きがあったと言えます。

 そして、気づかされるのはアブサロムの目は真理を見ることが出来ていないということです。先週日曜礼拝では、「目を覚まして」祈り備えることを学びました。真理を見る目、霊的な目が閉ざされているアブサロムには、真実が見えて来ませんでした。この目は神様との親しい交わりによってのみ開かれるものだからです。こうしてフシャイは真の友であるダビデの求めに応えて、アブサロムの懐に飛び込むことに成功したのです。

 私たちもアブサロムのように盲目でいてはいけません。目の前の出来事の表面だけで生きることは、なんと愚かしいことでしょうか。人の知恵は表面的な薄い部分しか見えていないことを謙虚に受け止めたいものです。主の恵みをしっかりと見出せる霊的な目を養わせていただきたいと思います。背後におられる主のご計画、主の御思いに見る者とならせていただきましょう。


 アヒトフェルの賢さ 神のことばのよう?

 さて、ここから軍師アヒトフェルとスパイとして潜り込んだフシャイの知恵の戦いが繰り広げられます。21節でアヒトフェルの非常に冷徹でおぞましい策略が始まっていることが分かります。 

21節 アヒトフェルはアブサロムに言った。「父上が王宮の留守番に残した側女たちのところにお入りください。全イスラエルが、あなたは父上に憎まれるようなことをされたと聞くでしょう。あなたに、くみする者はみな、勇気を出すでしょう。」

 王の側女と関係を持つという行為は、王に対する大きな侮辱であると同時に、王とその仲間たちに与える精神的ダメージが大きい戦略でした。それは王位を乗っ取った動かぬ証拠であり、当時の異教社会ではしばしばなされていたものです。

 しかし、これはイスラエルにおいては決して侵してはならぬ罪深い行為でした。アヒトフェルの類まれで冷徹な知略はこれまで周辺諸国との戦いにおいてはダビデを助けて来ましたし、彼の助言は力があったことが語られています。23節でこうあります。

23節 当時、アヒトフェルの進言する助言は、人が神のことばを伺って得ることばのようであった。アヒトフェルの助言はすべて、ダビデにもアブサロムにもそのように思われた。

人が神のことばを伺って得ることばのようであった」と。アヒトフェルの助言は非常に力強く、神からのことばのように重く影響力をもって受け止められていたというのです。ダビデでさえも、確かに一目を置き、その能力は疑いようもないほどであったと分かります。

 それほどにアヒトフェルは賢く、カリスマ的な指導力を持った人であったと言えるでしょう。現代の世界においてもこういう人は存在します。新興宗教の指導者や詐欺を働く人などはこうした知恵に長け、人が信奉してしまうほど心をつかむのが上手いと言えます。信奉する人にとっては、神のお告げのように聞こえるでしょう。

 しかし、この圧倒的な知略を持つアヒトフェルの助言が無に帰する瞬間が近づいていました。アヒトフェルの裏切り、そしてこの罪深い助言もまた、明らかに神様のみこころから外れたものでありました。ですから、そこに主の助けなど起こるはずもありません。


 人の知恵は神の知恵の前には弱く愚かである

 少し先の17章14節を読みたいと思います。 

17:14 アブサロムとイスラエルの人々はみな言った。「アルキ人フシャイの助言は、アヒトフェルの助言よりも良い。」これは、主がアブサロムにわざわいをもたらそうとして、主がアヒトフェルのすぐれた助言を打ち破ろうと定めておられたからである。  

「フシャイの助言はアヒトフェルよりも良い」とイスラエルの人々が言い始めた時、アヒトフェルは大いにプライドを傷つけられたことでしょう。これまで少なからず自信を持ってやってきたはずです。ダビデからも重宝され、幾度なくダビデらを窮地から救う知略であったことでしょう。しかし、その知恵が「良くない」と切り捨てられ、つい最近加わったばかりのフシャイの意見が採用されてしまったのですから、内心穏やかではなかったことでしょう。自分の立場を失ったことでしょう。

しかし、神様に遣わされ用いられている人と、神のことばの「ようであった」だけの人との間には天地ほどの差があったということです。神から出ていない知恵はどんなに立派そうに見えても、朽ちていくものです。

結局、アブサロムたちはフシャイの助言を採用していくことになったのです。この14節の最後に決定的なことばがあります! 主がアヒトフェルのすぐれた助言を打ち破ろうと定めておられたからである。

 神様がそうなさる時、どんなに優れた人間の知恵を集めて、神様の前にはチリに等しいものです。勝敗は最初から決まっています。私たちはこの世界で最高の知恵者である主を知り、この方の知恵の中に生かされて歩みましょう。

 祈りのうちに主の声を聴いて、主の喜ばれる道を行きましょう。この世界でどんなに成功しているように見えても、まことのいのちを損じたら意味がありません。 




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